aphasia ロングインタビュー(Part 3/4)
さて第三回となるaphasiaインタビューは更なる楽曲個別解説です!
(Interview by Hisashi ”SWA” Motonaga)
(aphasia CD情報)
「Ever-lasting Blue / エヴァ―・ラスティング・ブルー」
2017年4月26日(水)発売
11曲入¥3,024.-(税込)
レーベル:BIT ORGANIZATION
(aphasia LIVE情報)
・2017年8月6日(日) 西川口 Hearts
・2017年9月9日(土) 長野 CLUB JUNK BOX
・2017年9月10日(日) 目黒 LIVE STATION
aphasia Official Site(http://www.aphasia.jp)
HMF:次は”Where is my ID”ですけど、これはSionさんの作詞ですね。
goe:そうです。アンニュイな感じの、歌詞がちょっとふざけたような感じのイメージが私の中であったんですけど、私が書くと時間かかるんで「試しに作ってみてよ」って頼んで。
HMF:コーラスなんかもドゥーワップ (doo-wop) のスタイルを入れてますね。
goe:この曲と”Love motion”がaphasiaとしては亜流じゃないですか、この2曲は録っているうちにどんどん色んな事しちゃったみたいな。Sionの歌を聴いていたら浮かんできちゃったんですよ、ドゥーワッて(笑)だからSionになって曲のアレンジで影響されたのはこの曲のドゥーワップと”Love motion”のシュビドゥワーなんですよ。あ、シュビドゥワーじゃなかったチュッチュルーだった(笑)
HMF:”ID”が指すものは識別符号や身分証明のID(identification)ですよね。
Sion:直訳するとそうですね、自分自身の存在ってどんな?どこにあるの?って感じですね。
HMF:割とストレートな歌詞ですよね。
Sion:あえてストレートが良いというのと、aphasiaの歌詞や世界観ってどちらかというと抽象的な深い所をついていたので、その真逆で「歌詞を見たら内容もわかる恋愛もの」が無いなと思ったのと、普段の自分と違う人物像として描きたかったのでこうなりました。
HMF:作曲者から見て上がってきた歌詞を見て如何でしたか?
goe:ああ、大人っぽくなった~と思って(笑)私からじゃ絶対出てこない単語が沢山出てきたんで書いてもらって良かったと思いました。
ken:これは悩むまでではなかったんですけど、キーボードがどういう感じで入ってくるかイメージ的にわからなくて、Aメロの弾き方に実は苦労しました。後半に関しては僕流の跳ねた感じを上手くアプローチして、コード感も工夫した感じですね。ギターがこうくるならこういくかって、ディスコードみたいなのを入れて・・・
goe:Bメロですね。
ken:あそこは狙いました。
gen:いい感じにギターと絡まってますよね。
ken:そういった事をリズムでただ跳ねるんじゃなくて、コードも工夫してみたというのがこの曲です。
HMF:aphasiaとして亜流と言われるこの曲はjunさん的に如何でしたか?
jun:残念だったんですよ~ 最初シャッフルやろうって言われてたんですっかり気持ちはMichael Schenkerな感じだったのが何か違ってきちゃって(笑)
goe:何でこうなっちゃうんだろうね(笑)
jun:私が録った時は歌詞がまだ確定していなかったんです。私の中ではMichael Schenkerだったからちょっと重めに叩いちゃったんですけど、恋愛の歌詞が乗ってきて「うわ、もっと軽くしとけばよかった」と思っていたところ、結構大人っぽい雰囲気になり。
HMF:そういう感じになっているんじゃないですか?
jun:結果的にはまとまったかなと、冷や汗かきました(笑)
HMF:次は”約束の地”ですが、「Wings of fire」以来の2回目の約束の地ですね。
goe:そうですね、その時は英語で。
HMF:aphasiaの歌詞中に”約束の地”ってたまに出ますよね
goe:私Queenrycheが好きなんで、彼らのアルバムに「Promised Land」ってありますよね。Geoff Tateの詞が好きでかなり影響されててちょいちょい出てきます(笑)
HMF:宗教的な意味の方ではないんですね?
goe:そっちではなくて、最終的に辿り着くべき目的地みたいな感じですね。
HMF:文学的な歌詞ですよね
goe:これも実は歌詞のインスパイアは「銀魂」なんですよ。
HMF:このメロディを歌うのは難しくありませんでした?
goe:難しいよね~
Sion:そうですね、Aメロの動きとか。
goe:あとキーがちょっと高かったかな?ごめんなさい(笑)
Sion:それとこの曲ってライブで歌える系のコーラスがあるじゃないですか? “WOW WOW~”って、なので盛り上がりたいなっていうのがあったのでそこはテンション的に上げて録ろうと思いましたね。
ken:一番アプローチするのが難しかった曲です。最初は「アメリカン」ってワーキングタイトルだったんで(笑)そのアメリカンと言う言葉に非常に悩まされて・・・
HMF:いい迷惑ですね(笑)
goe:ドライなアメリカンみたいな感じで(笑)
ken:なのでこの曲は唯一手癖に近いところがあります。サビのところをみんなで試行錯誤していく時ベースラインの付け方としてはとにかくリフレインに回していくというのが多かったので、ボレロみたいな感じで段々色をつけて行って最後にドンって分数コードで落とすという感じでまとめてみたというのがこの曲です。
HMF:そういうベースを相手にドラムは如何でしたか?
jun:ドラム単体で考えると”千の光”と近いイメージになっちゃうんで、色々な事をやるのは上物(他の楽器)にお任せしようと思って私はシンプルにいきました。
HMF:次の”Sandplay is over”ですけど、前の曲からの入り方が絶妙ですよね。
goe:そこはもの凄くこだわりました。曲順と曲間は私がアルバムで一番こだわるところなんで。
HMF:曲間はこの曲に限らず絶対に考えていると思ってました。
goe:もう全アルバムそうです。曲が一番良く聴こえる曲順と曲間は、録りが終わった時点で実際に並べてみて綿密にシュミレーションします。
ken:この曲は最初junさんにデモを聴かされた時に「こんなイメージで」と結構詳しく説明受けたんでそこから構築しようと思いました。サビに関しては「フラッシュバックしていく自分の過去に対しての自分の思い」って言う感じを出したかったのと、いわゆる弦楽のオーケストラで言うところのアプローチを狙って弾いているんです。僕のあのベースをバイオリンで弾くとかなり良い具合になるんですけど(笑)僕の力量が無くてイマイチ不評な所がありまして。そういう所も含めてスリーピースなのでああいうアプローチをやってみたんですね。ギターソロのバックなんかはシンプルにしていて、メリハリをつけてその後のVocalが入る所と最後はかなり冒険しちゃいましたけど、ああいう感じで昇華していくような感じを表現したくてベースソロ的なものをしてみたんです。と言うのがこの曲のベースラインの本音です。
jun:Bメロは当初ベースでオシャレなコード感を出す予定だったんですが、kenさんがフレーズ弾きして(笑)最初は戸惑ったんですけど、耳が覚えるとAメロ後半からやたらBメロへ期待感が高まるっていう、麻薬の様な。今は気に入ってます。エンディングのソロも印象的ですよね。あと、ベースが敢えてリズムのアクセントをずらしにきたとこがあって。ライブではつい引っ張られそうになるんですけど、そこは行かない。行ったら面白くない。でもそれを聴いたギターはベースに合わせに行っちゃいました。なので一人でそこ緊迫してます… それもアンサンブルの妙で楽しんでますけど(笑)
HMF:ギターは他の曲に比べると少しシンプルですよね。
goe:(リフを)ズクズクやっているんで、それに一生懸命だからですかね。ズクズクって難しいんですよ(笑)
jun:私はズクズク大好きで、絶対やってくれると思ってたんで嬉しいです(笑)ピッキングハーモニクスとかも好きなんで、ギター自体はシンプルかもですが作曲者的にはお腹いっぱいです! ソロ入口の音使いなんかもぞくぞくしますね。
HMF:字面を追っていく限り歌詞としてはシンプルにも思えるんですが実は深い意味ありますよね?
jun:箱庭療法をモチーフにした共依存の終焉がテーマなんですけど、トリプルミーニング位あるので、聴いてくれた方のイメージで受け取って頂ければと思います。
HMF:歌われる方としては如何でしたか?
Sion:やはりテーマが重いなというのがあったのと、goeさんの幻想的な楽曲とはまた違った素直なイメージがあったので表現とかではなく素直な声で伸ばすというか、綺麗に歌いたいというのがありました。大きな流れで言うとベースもkenさんが凄く細かく弾かれているのに対し私は私の大きな流れであえて歌った部分がありました。歌詞のイメージとその切なさをそこで合わせて歌うとちょっと軽くなってしまうような想いがあったので、あえて自分のやり方でやってみたんですけど、それがどんな感じで聴く方に捉えられているかは・・・
jun:諦観の念を切なく優しく、最後は消えていく様な表現がバッチグーでした(笑)
HMF:作者としてドラムプレイは如何でしたか?
jun:作者なので好き放題でひたすら爆走(笑)私は弦楽器が出来ないから(他の楽器隊へ)基本的にお任せで、キーボードの刻みは8分以上では弾かないと前提にして頂きました。これが16分や32分だったら普通のメロスピになっちゃうんで。ベースの人は元々音数多いし、ギターはズクズクやってもらって(笑)その代わり歌とキーボードはゆったり。その対比が肝かなと。オカズはドラムに限らずなんですけど2番やサビにいく盛り上がる所で隙間あけて「誰か何かやってね」って渡してたのが、遠慮して誰も何もやらなくて(笑)仕方なくライブではドラムでちょっと入れたりとか。
goe:ギター録り直前に何かやれって言われてCDでは入れたんですけど、そのフレーズがちょっと速いし短いのでライブで盛り上がると結構高い割合で弾き忘れるんです(笑)
jun:実は一番聴いて欲しいところはトライアングルなんです。うまいこと歌詞のイメージに合って気に入っているんですけど出音として弱いんですよね。ライブでもMTRには入っているんですが轟音でかき消されてしまい(笑)3か所入ってるんで是非探してみて下さい。
*次回が最終回です、お待ちください!